シルクプロジェクト

 ネパール出張中にこれを書いています。2月に入り日差しが暖かくなってきました。

今回は初日から、とても嬉しいことがありました。長年の念願だったことに取り組むことになりました。ネパールのコパシという村を中心に、JICAの養蚕農家支援のプロジェクトがありました。(10年以上前に終了)日本の養蚕の専門家が指導した技術ですが、その後どうなっているか非常に気になっていました。数年前から私とベシュさんが手がけている本物のパシュミナ、ヤクの製品にネパールのシルクを使いたいという思いがありました。そして、今回ついに養蚕農家の方を探し出してくれました。

 その方との初めての対面の日。カトマンズから50kmほど離れた村からそのために出てきてくれました。時間ぴったりに現れた彼は、養蚕歴35年だそう。非常に飲み込みが早く、やる気に満ちたシンプルな方。そして感動したことには、私も聞いたことがあったり面識のある二人の専門家の名前を挙げ、彼らが教えてくれたんだ!とニコニコして言うのです。息子さんたちと一緒に、その技術を守り、なんとさらに400km離れた村に指導し、養蚕を広げようとしている。その出張に明日から行くのだという話でした。本当に素晴らしいと思いました。現在は、座繰りという技術で(二人目の専門家が導入)よりをかけた太い糸を主に作っており、それを買ってくれる日本の業者もいるそうです。しかしそれはかなり固く、編み物に適し、ラフなエスニックな要素の強いものになります。私は、例えばキャミソールやブラウスなどが作れる柔らかい布が欲しいと写真などを見せて伝えました。すると繭と糸のクオリティーを良くしないといけないと彼は言いました。そして、本当に世界で売るならばそのクオリティーが必要なこと、彼も新しい村に養蚕の規模を広げるならばその努力が今後必要なことを即座に理解しました。そして次の出張の時に見せてくれるために、クオリティーの高い繭から、薄手の布作りを頑張ってくれることになりました。

 その後、改めてパシュミナのベシュさんのお家で、ゆっくりとお酒を飲みながら話をしました。その時にベシュさんが言っていたこと。彼のような人は100人教えたうちの1人かもしれない。だけどその志のある一人の意志によってシルクの技術が守られたことにベシュさんも本当に感動したようでした。そういうベシュさんもネパールの田舎から海外の大学院まで行き、国連で20年以上ネパールの開発に携わっていた人で、本当の専門は土木のエンジニア、本当にジェントルマンなのです。私財を投じてパシュミナの保全を始めた彼と出会ったのは4年前ですが、さらにシルクにも関わってくれることになります。彼らに言えることは、実直な人柄、そして人々の為に動く熱意と行動力と言えると思います。

 ネパールは観光が主な産業であり、ネパールでの生産業は観光客相手の土産物や一部の輸出業者はありますが、まだまだ小さく不安定ものです。しかし、最初の一歩を継続することから全ては始まります。産業への支援というのは難しく、やはり利益が生じるものですので本気でビジネスとして取り組むことが必要です。そのマーケットへの流通という役割を、新たにネパールの養蚕シルクという分野において、今後果たすことが出来ることを嬉しく思います。Nature and Creation というブランドではない新しい出発も予定している今年、ベストタイミングです。もちろん、もう少しNature and Creation は続きますが、今後違うブランドとなっても、この歩みを記録する意味も込めてこれを記しました。もちろん、染め、織り、縫製を手がけるNature and Creation というネパールの会社は、今後さらに発展して行きます!