パシュミナとヤクのお話。2:出会い

Nature and Creation 代表の赤池です。

 

本物のパシュミナと昔に出会っていた私は、カトマンズで暮らしていた数年前に懐かしい昔ながらのパシュミナに、あるローカルの展示会でも再会しました。まだ作っている工房があったんだと嬉しくなり、同じものを注文しましたが待てど暮らせど出来ませんでした。どうやらずいぶん前のストックだったらしく、原料のチャングラ山羊の毛はどこを探しても見つからなかったようです。毛はどうやったら入手できるの?どうしてこのようなものを忘れてしまうの?しばらく探しましたが、パシュミナと呼ばれた混ぜ物入りのストールは、土産物屋では埃をかぶって安い値段で売られている一方、本物はどこにも無かったのです。

 

そのうちに、私自身の環境の変化により日本に帰国することになりました。その直前に、私が親しくしていたネパール人の学者さんから「パシュミナに興味ないか?」と聞かれました。私はまたどうせ一般的な方のそれだろうと思って、本物じゃないと興味がないのだと答えました。しかし、よく聞いてみると山から毛を持ってきて本物のパシュミナを作ろうとしていると言うではありませんか!驚くべきタイミングで降ってきた話でした。私がまさに探していたものでした。

 

早速その方と会うことになりました。ビシッと背広を着てキチンとした英語を話す彼は、元国連職員でシビルエンジニアのインテリさんでした。そして誠実さを絵に描いたような方でした。彼から見せてもらったのはビニール袋に入っていた茶色い毛(それもまだ固い毛と皮膚も混ざった状態)、そして初めての試作品のストール数点でした。

 

ストールは、自然のままの本来のパシュミナと残念な色に染められたものも。彼は暗中模索状態。しかし、既に設備と原材料にかなりの投資をしてしまっていました。「売る先のあてはあるのですか?」と尋ねたところ、「いいえまだです。」という答えが返ってきました。吃驚。私より無謀な人が!()ビジネスとファッションの経験ゼロ。しかしネパール人のアイデンティティーを守り、パシュミナを復興させたいという意志だけは揺るぎのないものでした。運命の出会いでした。そして、私の役割もその時自覚しました。       つづく。